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肩の痛みやコリ感が取れない原因

肩の痛みやコリ感が取れない、治らない方、原因を知り改善したいあなたへ。

 
肩こり
 

肩こりの原因は理解できていますか?原因を明確にすることで、改善までの方向性やスケジュールを明確化できます。

 
ここでは、肩の痛みの具体的な改善方法を手順でまとめました。 
 
 

 慢性的な右肩の強いコリ感と痛み

下記の症例に沿って書いていきます。

 
(来院者)
・30代 女性 製薬系営業
 
 
(主訴)
・10年以上続く右肩の強いコリ感と痛み
 
 
(痛み方)
・常に肩甲骨の内側から首すじにかけてコリ感を感じ、疲労や天候が悪いとコリ感が強くなり痛みどめを飲んだり、鍼灸やマッサージにいっていた。
 
 
・これだけ通っても改善しないことから、この痛みは根本的にはもう改善しないのだろうと思っている。
 
 
 

 
問診

問診:

どこが痛む?
・右の肩甲骨の内側から首にかけて
 
 
痛みの種類は?
・普段は張り感とコリ感で、酷くなってくると強い痛み
 
 
どうすると痛む?
・常に痛むが、仕事が忙しくなる時や、天気が悪い時は酷い
 
 
いつから痛む?
・20才ぐらいからなので、10年以上前から
 
 
いつ痛む?
・常に痛むが、夕方から酷くなる
 
 
きっかけは?
・仕事を始めてから
 
 
既往歴あります?
・なし
 
 
痛みの現在の状態
・悪化傾向
 
 
悪化要因
・仕事、天候
 
 
改善要因
・マッサージ、鍼灸(やった日だけ)
 
 
 

 情報を整理します

  • 仕事を初めてから痛みを感じるようになった
  • PCなど重い荷物を常時持つ
  • 長年鍼灸に通っているが改善はしない(1日は和らぐ)
  • 筋肉が緩むと改善傾向
  • 血流が悪くなると悪化傾向
  • 常時張り感とコリ感を感じる

 
 という事は 筋肉が緊張すると症状が強くなることが考えられます
 
 
筋肉の状態を正常にすることを目的に方針を立てよう。
 
 
・そのためには、筋肉が緊張しやすいor弛緩しやすい体の環境を安定させる施術(背骨や骨盤の矯正、神経の伝達を改善)が必要。
 
 
・10年も前から症状があり、鍼灸などでも効果が持続しなかったことを考えると関節や神経だけの問題だけではなく二次的に問題を起こした筋膜の癒着などもチェックし調整する必要がある。
 
 
・施術方針ができたら、関わっている筋肉の特定をし、関わる関節(くっついている骨と骨の場所)その筋肉の神経(筋肉に情報収集を送っている神経線維)を整理し、検証していく。
 
 
 

関わる筋肉の特定

今回は、右肩が前下方に変位していて肩甲骨周囲に痛みを感じることから、肩甲骨と頸椎及び胸椎を繋ぐ筋肉である板状筋・肩甲挙筋・菱形筋と、頸椎と肋骨を繋ぐ斜角筋に問題がある可能性が高いと考えました。
 
 

筋肉の付着場所

  • 肩甲骨ー背骨 →①肩甲挙筋、菱形筋
  • 頸椎ー胸椎  →②板状筋
  • 頸椎ー肋骨  →③斜角筋

ここでは解剖用語を使うと解りにくくなるので絵を見てください

 
 

①肩甲挙筋・菱形筋の作用
  • 肩甲骨を上方及び内方に移動させる
  • 肩甲骨の位置を固定する
 

②板状筋の作用
  • 首の伸展・側屈
 
 

③斜角筋の作用
  • 頸部の屈曲
  • 頸部の前方の安定性

 
 
 

神経支配

①肩甲挙筋・菱形筋
 →肩甲背神経(C4~C6)
 
 
②板状筋
 →頸神経後枝(C2~C5)
 
 
③斜角筋
 →腕神経叢(C4~C7)
 
 
今回問題を起こしている筋肉はいずれも頸椎の中下部から発生している神経に支配されています。
 
 
そのため、痛みや問題を起こしている筋肉は肩甲骨周囲ですが、問題は頚部にもあることが考えられます。
 
 
このように、筋肉や皮膚を支配する神経は実際の位置とズレてくるため、痛みを感じる部位が問題部位とは限らないのです。
 
 
今回のように長年鍼灸やマッサージをしても一時的な効果はあったものの、根本的に問題を解決していないパターンが多く見られます。
 
 
肩こりや腰痛などの原因を検査、判断し、適切な部位に施術を行うことで、根本的な解決が見込まれます。
 
 
 

検証

では、今回のケースが本当に頸部が原因で発生しているのかを検証をしましょう。検証には神経や筋肉、関節の検査をしていきます。
 
 

触診検査

・右の首の前面(斜角筋)に圧痛がある
・普段はここが痛みを感じることはないとのこと
 
 
 

筋力検査をしてみる

・肩甲骨内側にある菱形筋が正常に使えていないため、筋力検査では肩甲骨を保持できていませんでした。
 
 
また、菱形筋が正常に働いていないため、肩甲骨が背骨から離れてしまい、右肩の突出も生じていました。
 
 

関節のチェック

  • 頸椎の1番の左後方変位
  • 頸椎4番の右後方側屈変位
  • 頸椎7番の左後方変位
  • 胸椎3番、6番の左後方変位

 
 

神経支配の検査

・モーリテストを行い陽性反応が見られました。
 →モーリーテストは斜角筋を圧迫することで、腕や肩甲骨周囲に痛みやしびれ感を誘発させるテストです。
 
 
 

筋肉の状態

ART(アクティブリリーステクニック)を一時的に使用すると、首を動かした時の張り感が消失していたことから斜角筋及び肩甲挙筋の筋膜に癒着の可能性がありました。
 
 
筋膜に癒着が生じると、いくら筋肉を緩めたとしても、張り感やコリ感が根本的に改善しない状態になります。
 
 
写真のように筋膜調整を加えると、問題部位に細かな内出血点が生じます、この内出血点の部位に癒着が生じていた結果になります。
筋膜調整を複数回繰り返すことで、癒着が剥がれ、根本的な解決につながります。
 
 
 

まとめ

 このような検査結果から、肩甲骨周囲のコリ感や痛みは頸椎が根本的な原因だと考えられました。頸椎の関節に変位が生じることで、神経が影響を受け、支配している筋肉に異常が現れます。
 
 
神経は脳と筋肉の情報を相互にやり取りをすることで、正常な状態を保ちますが、神経に問題が生じると、この情報のやり取りが正常に働かず、筋肉が過剰に緊張したり、弛緩しすぎてしまうことにより、姿勢が崩れていきます。
 
 
今回の患者様はその状態を長期間放置したことで、斜角筋や肩甲挙筋の筋膜癒着まで生じていたことから、マッサージや鍼灸が一時的な効果しか出せなかったのだろうと考えられます。
 
 
まずカイロプラクティックによる施術により、頸椎及び胸椎の調整を行いました。その後筋力検査を行い、正常な出力を確認できた後で、斜角筋の筋膜リリースを行いました。
 
 
筋膜リリース後に首の可動域検査を行い、最終可動域での張り感の消失を確認できました。
 
 
関節が安定性も取り戻すのには、調整した位置に2週間の保持が必要になります。これは脳が関節の位置情報を管理しているためです。
 
 
脳は今までの位置に関節を戻そうとすることから、施術後関節がその状態を維持できるのは3日~5日になりますので、安定するまでは、10日間で3回程度の施術が必要になります。
 
 
その間に、筋膜調整も同時に行います。通常筋膜の癒着は筋膜調整2~4回程度で消失します。
 
 

筋膜リリース

 
 

 注意事項

 
 筋膜リリースはカイロプラクティック専用のテクニックではなく様々な分野で最近使用されています。
 
 
確かに筋膜を調整することで、癒着は剥がれて、張り感やコリ感が解決はしますが、それは根本的な解決ではありません。
 
 
あくまで筋肉は関節間を繋ぎ、神経によって作用をするため、筋肉の問題のほとんどは筋肉自体の問題ではなく、神経か関節の問題によって、影響を受けているだけに過ぎません。
 
 
筋膜リリースは容易に使用ができ、効果も絶大なテクニックではありますが、使用方法によっては対処療法にすぎなくなってしまいますので、安易な使用は避けてください。
 
 
今回のケースでも関節と神経の問題をクリアにしてから、筋膜リリースを行っているため、根本的な解決になっているのです。
 
 
カイロプラクティックの施術だけでなく、新しい施術法も、施術者が適切な教育を受け基礎医学を理解していることが非常に重要です。
 
 
施術を受ける側にも事前に確認しなければいけないことです。
 
 
 
判断をする上で必要な確認すべき2つを挙げておきます。
 
 
・国家資格を持っている(柔道整復師、指圧師・あん摩マッサージ指圧師)
 
・学位がある(応用理学士・カイロプラクティック理学士)